ホーム>世界の学校こぼれ話 第2回 時 間 その二

世界の学校こぼれ話 二宮 皓
AkiraNinomiya

【PROFILE】二宮 皓(にのみや・あきら)
1945年、鳥取県生まれ。広島大学教育学部卒。広島大学大学院教育学研究科博士課程中退。大学院在学中米国フルブライト留学(コネチカット大学)。文科省大臣官房調査課、広島大学教授、同大学留学生センター長・教育開発国際協力研究センター長・理事・副学長、放送大学理事・副学長、比治山大学学長などを歴任。専門は比較・国際教育学。著書に『世界の学校』(学事出版)、『21世紀の教育と学校』(協同出版)、『こんなに違う!世界の国語教科書』(監修、メディアファクトリー新書)、『こんなに厳しい!世界の校則』(監修、メディアファクトリー新書)など。テレビ『世界一受けたい授業』への出演なども。

このシリーズは、協同出版発行の月刊『教職課程』に2009 年9月号から2010年8月号までに連載した「放課後の学び舎」を採録したものです。

第2回

時 間 その二

世界の「学校の時間」

私もこれまで世界の学校にも「学校時間」があるのではないかと思って、いろいろと見たり、調べたりしてきました。その結果、学校生活のペースが国によって違うことを発見しました。日本の学校がもつリズムからみると、世界の学校のもつリズムは異なっていることが少なくないと感じています。もちろん日本の学校だけが独特のリズムを刻んでいるのではなく、日本とよく似たリズムの学校もあります。一般化は難しく断片的な話になりますが、事実世界の学校には興味深い「学校時間」があると思います。

学校は何時に登校するのでしょうか。登校時間と下校時間をみるだけでも、異なる「学校時間」があります。いま私はマレーシアのペナンのホテルにいます。海岸線の綺麗な海の近くのホテルです。近くに小学校がありますが、早朝から学校が始まります。朝5時30分に敬虔な祈りから一日が始まるマレーシアの人々が考えた学校では朝7時頃には登校するようです。少し離れた中等学校(写真)では7時30分に朝礼が始まりました。いまこの原稿をホテルで書いていますが、モスクからのお祈りを誘う声がスピーカーから流れてきています。心地よい誘いのメロディーと抑揚をもった不思議な感じのお祈りの言葉です。それにしてもまだ外は暗く朝が明けているとは思えないのに、スピーカーから流れる声は町中に響くほどの大きな声ですね。


マレーシア(ペナン)の中等学校の朝礼の風景。
手前が校長と先生。立っている生徒がプリフェクト(監督生)。
制服を着ていない生徒にはケーン(鞭打ち)がまっている。

マレーシアの学校ではお昼過ぎには下校しますが、朝が早い。インドネシアの学校も朝が早くて7時頃には始まっています。マレーシアと同様に特に月曜の朝の朝礼は本格的です。

アメリカでもスクールバスが近くまで迎えにくる時間は朝の7時頃というのも珍しくありません。学校に到着する時間は8時過ぎになるようですが、ピックアップされる時間は早い。朝の学校では生徒が欠席してしまう、という生徒指導の観点から午前10 時から始まる学校もアメリカにはあります。

日本は8時30 分までに登校しますよね。どうして8時30 分なのですか。先生の勤務時間から考えて逆算された日本の「学校時間」なのでしょうね。サラリーマン化した日本の学校。工場の始業に合わせた日本の「学校時間」でしょうかね。

オーストラリアは、9時を過ぎたかなり遅くに学校が始まるようですね。その理由は、通勤客が一段落した後の公共バスを通学バスとして使用するということにあるようです。混雑を避けて、大人が働く時間の後の時間をつかって子どもの通学の足となるようです。