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世界の学校こぼれ話 二宮 皓
AkiraNinomiya

【PROFILE】二宮 皓(にのみや・あきら)
1945年、鳥取県生まれ。広島大学教育学部卒。広島大学大学院教育学研究科博士課程中退。大学院在学中米国フルブライト留学(コネチカット大学)。文科省大臣官房調査課、広島大学教授、同大学留学生センター長・教育開発国際協力研究センター長・理事・副学長、放送大学理事・副学長、比治山大学学長などを歴任。専門は比較・国際教育学。著書に『世界の学校』(学事出版)、『21世紀の教育と学校』(協同出版)、『こんなに違う!世界の国語教科書』(監修、メディアファクトリー新書)、『こんなに厳しい!世界の校則』(監修、メディアファクトリー新書)など。テレビ『世界一受けたい授業』への出演なども。

このシリーズは、協同出版発行の月刊『教職課程』に2009 年9月号から2010年8月号までに連載した「放課後の学び舎」を採録したものです。

第3回

時 間 その三

世界の「学校の時間」

下校時間も同様にまちまちです。早朝に学校が始まるドイツの学校では、お昼過ぎには全員下校してしまいます。教員も同時に帰宅します。その後の学校はからっぽですね。アメリカの学校はおよそ2時30分から50分ぐらいの間にスクールバスで全員下校します。先生もスクールバスを見送ってから車で帰宅してしまいます。フランスの学校の生徒は午後4時過ぎに下校します。校門の前には母親が迎えに来ており、子どもが出てくるのを待っています。下校時間が遅い感じですが、お昼休みが2時間と長いことから、その分下校が夕方になっているようです。フランスでは子どもはお昼休みにいったん帰宅することもありますので、一日2回登下校を繰り返すこともあります。


フランス 下校時 迎える親たち

週休二日制でも何曜日を休みにするかは国によって違いますね。欧米は土曜日と日曜日が休業日ですが、イスラム諸国の多くでは、金曜日を休業日にする場合が一般的です。マレーシアでは金曜日は半ドンのようで丸一日休業ということはないようですので、同じイスラム圏でも少し違います。またユダヤ教徒の学校には、土曜日が安息日とする教えがあり、土曜日を休業日にしています。さらにフランスでは土曜日と日曜日に加えて水曜日を休業日とする学校もあります。学校の休業日の時間もこのように違っています。

年間何日学校が開いているか、勉強する日数がどうか、という点でも国で違いますし、時代の流れから日数が短縮される傾向にあります。日本は年間授業日数はかつては240日以上という決まりでしたが、今は週五日制のため210 日程度になりました。この水準はドイツやイギリスと同様のようですね。アメリカは180日ですし、フランスはさらに少ないようですね。そのことは夏休みの長さにも影響してきますね。ワーク・ライフバランスという言葉がありますが、児童生徒の学校・生活バランスという観点から学校時間をみると、日本はどうしても学校に偏重しているのではないでしょうか。


バングラデシュ 下校時 迎える母親たち

入学の時期も春から初夏、初秋から秋、さらには1月、3月と世界の学校は一年中入学時期を迎えています。その理由はさまざまですね。暖かくなる春(4月桜の花の時期)だから学校が始まるということでもなく、冬をめがけて学校が始まるヨーロッパの国々も珍しくない(9月~10月)。農作業の邪魔にならないように、ひっそりと学校が始まるとでも表現したらいいでしょうかね。

以上のように「動物の時間」があるように、世界の学校にはそれぞれリズムの異なる「学校時間」があり、その背景には多様な文化や人間の営みがあり、学校時間の意味も異なるといっても過言ではありません。