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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2017/7/3 No.550発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

“移行措置”はどこまで
 菱村 幸彦

 

新しい学習指導要領の移行措置が公表された。移行措置は、現行指導要領から新指導要領への切り換えを円滑に行うための経過的な措置である。

本来、新指導要領が決まれば、できるだけ早くそれに切り換えることが望ましい。しかし、新指導要領に対応した教科書を整備するには、編集・検定・採択に各1年、計3か年を要する。このため、従来から指導要領の改訂に際しては、新教科書が整うまでの間を移行措置期間としている。その間に新指導要領の趣旨を徹底する役割もある。

 

●積極的に新指導要領を活かす

では、今回の移行措置は、どのように行われるのか。小学校を中心に見てみよう。

第1は、移行期間。小学校については、平成30年度と31年度を移行期間としている。この間、現行指導要領から新指導要領への円滑な移行ができるよう、現行指導要領について特例を定めている(中学校は平成30年度から32年度)。

第2は、基本方針。教科書を要しない教育活動については、積極的に新指導要領を活かす方針をとっている。すなわち、総則、総合学習、特別活動は、平成30年度から新指導要領によることとしている。総則で定める「主体的・対話的で深い学び」や「カリキュラム・マネジメント」は、すぐにも実施する必要がある。

第3は、各教科の取扱い。これは改訂内容や教科書のウエイト等により3つに分かれる。

まず、教科書のウエイトが比較的小さい「生活」「音楽」「図工」「家庭」については、新指導要領によることができる。

次に、指導内容に大きな変更がない「国語」「社会」は、新指導要領によることができるが、現行指導要領による場合は、新指導要領に移行したとき、指導内容に欠落が生じないよう特例を定めている。たとえば、国語では新しい学年別漢字配当表により指導すること、社会では「国土の位置、領土の範囲」を追加して指導することなどである。

問題は「算数」「理科」である。算数と理科は、新教科書がなくては新指導要領によることは難しい。このため、現行指導要領によることとなるが、新指導要領で指導内容の追加や移動のある事項について特例を定めている。

たとえば、算数では、3学年から5学年の「量と測定」に「メートル法」を、4学年の「数と計算」に「小数倍」を追加して指導するなどである。また、理科では、4学年の「光電池の動き」を省略すること(6学年に移動)、5学年の「電気による発熱」を省略すること(中学校2学年に移動)などを定めている。算数と理科の移行措置の実施には教材が必要となる。文科省は来年度の概算要求で教材の作成・配付の予算計上を検討している。

 

●道徳科と外国語の特例措置

第4は、道徳科と外国語の特例。まず「道徳科」については、平成27年に先行して指導要領が改訂され、すでに新教科書が整備されているので、平成30年度から新指導要領によることとなる(中学校は平成31年度から)。

次に、「外国語」については、移行期間における授業時間の特例を定めている。すなわち、3学年と4学年は年間15時間、5学年と6学年は年間50時間を確保し、新指導要領の外国語活動(3、4学年)および外国語科(5、6学年)の一部の内容を必ず取り扱うこととしている。授業時間の確保のために必要がある場合は、総合学習の授業時数から15 時間を減じることを認めている。文科省は、新指導要領に基づく英語教材を作成し、平成30年度に配布する予定にしている。

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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