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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2017/7/11 No.551発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

学校経営のポイント

通知表――保護者の苦情対応
 小島 宏

 

通知表を巡る保護者からの苦情は少なくない。特に担任が変わった学級では、1学期末(7月)に苦情の集中する傾向がある。そこで、このことについて、学校経営の視点から考えてみたい。

 

●指導要録と通知表の違い

指導要録は作成及び保存が、学校教育法施行規則(第28条)で学校に義務付けられている公簿である。一方、通知表には法的規定がなく、作成するか否かを含め様式・内容などは学校の判断による。

 

●法規や通知で確認する習慣

ところが、「通知表は、指導要録を原簿として作成される」という解説本や、「指導要録や通知表に道徳科の評価が加わることになった」という研究者がいて、誤解を招いている。この種のことは、法規や通知などで、必ず確認する必要がある。

平成3年の文部省通知には“指導要録は、一年間の学習指導の過程や成果などを要約して記録するもので、様式や記載方法等を学校と保護者との連絡にそのまま転用することは必ずしも適切ではない。指導要録における各教科等の評価の考え方を踏まえ、学習指導の過程や成果、一人一人の可能性などについて適切に評価し、一人一人のその後の学習を支援することに役立つようにする観点から、通信簿等の記載内容や方法、様式等について工夫改善すること”とする旨が記載されている。

 

●通知表に対する主な苦情

ところで、通知表に対する苦情は、経験的には次のような事柄が多いようである。

◯ 所見の内容(不当、欠点ばかり、所見に書かないで普段指導してほしい等)及び表現

◯ 評定に対する不満(低すぎる、不公平等)

◯ 出欠日数や所属委員会などの誤記

◯ 行動の記録(行動目標)に対する判定の不満

 

●苦情対応より優先すべき指導

苦情を気にするあまり、念入りな点検や苦情対応のみを教員に求めることが少なくない。

しかし、通知表を作成する直前に、上記◯印のようなことが生じないよう、まず自分で気を付けるよう十分に指導する必要がある。経験年数の少ない教員が増えている現状では重要なことである。また、7月の保護者会で、通知表の内容や評価の仕方等などついて、丁寧に説明しておくことも効果的である。

 

●苦情予知と回避策(リスク・マネジメント)

次に、上記◯印を予知し回避するために、適切な手順で点検する。その際、例えば、自己点検→学年内点検→管理職点検(教頭・主幹教諭点検→校長点検・決裁)が考えられる。

 

●苦情への対応(クライシス・マネジメント)

それでも、点検ミスや想定外の苦情が寄せられることがある。苦情の内容や主訴を捉え、学校側に要因がある場合は速やかに改善(ICT作成ならば、作り直すことも可能)する。誤解やただちに処理できないものについてはその旨を丁寧に説明して今後の課題とし、改善を図るようにする。

 

●再発防止(ナレッジ・マネジメント)

同じような苦情が、毎学期、毎年繰り返される傾向がある。保護者から寄せられた苦情の内容と、その対応状況と結果を整理し、再発防止策を講じて、全教員で共有することが肝要である。

子どもに対する日常の指導の充実に加え、この再発防止策が次の学期や年度の教員に対する指導として活用されると、苦情の減少に役立つであろう。

(こじま・ひろし=元東京都公立小学校長・(公財)豊島修練会理事長)

 

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