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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2017/10/2 No.556発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

働き方改革の“緊急提言”
 菱村 幸彦

 

8月29日に中央教育審議会の「学校における働き方改革特別部会」から「緊急提言」が出された。

緊急提言は、(1)校長と教委は勤務時間を意識した働き方を進めること、(2)全関係者が学校・教職員の業務改善を推進すること、(3)国は勤務環境整備のための支援を充実させること、の3点を提言している。提言のポイントについて見てみよう。

 

●勤務時間管理は校長・教委の責務

第1は、勤務時間の適正な管理である。教員の時間外勤務については、給与特別措置法により、労働基準法37条(時間外勤務の割増賃金の支払い)が適用除外され、一律に教職調整額が支給されている。このため、教員の勤務時間管理が曖昧となり、なかには学校では勤務時間の管理はしなくてもいいと誤解している向きもある。

しかし、労基法32条の「使用者は、労働者に…1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」とする規定は学校にも適用される。つまり、校長や教育委員会は、教員の勤務時間を管理する義務がある。厚生労働省のガイドライン(平成29年1月)は、使用者に労働者の始業・終業時刻をタイムカードやICカードで正確に記録することを要請しているが、文科省調査(平成28年度)では、タイムカードやICTで退勤を正確に記録している学校は、小・中学校とも26%程度しかない。

もう一つ、労働安全衛生法は、月100時間を超える長時間労働について医師による面接指導を義務付けている。この義務を果たすには教員の勤務時間の把握が欠かせない。緊急提言は、教育委員会が、タイムカード等で勤務時間を客観的に把握するシステムの構築を求めている。

 

●業務改善方針・計画の策定の推進

第2は、業務改善方針・計画の推進である。文科省調査(平成29年度速報値)では、学校の業務改善方針・計画を策定している教委は、都道府県85.1%、政令市55.0%、市区町村7.6%にとどまる。とくに市町村は、いっそうの業務改善の取組が必要である。

具体的には、(1)統合型校務支援システムの導入の促進、(2)指導要録の記載などの電子化、(3)学校への調査・依頼・指示の精選と適正化、(4)給食費の公会計化と教員の徴収業務の解消、(5)事務職員の活用による事務機能強化などを提言している。

とくに、国も教育委員会も各種調査の精選と適正化に努めてきたはずなのに、いまだに学校に対して行っている調査や報告依頼が1か月間30件を超える教育委員会が、都道府県46.8%、政令市60.0%、市区町村26.4%に及んでいる(調査対象は平成29年3月)。この点は、さらなる精選と合理化が欠かせない。

 

●来年度予算における措置

第3は、国による勤務環境整備の支援である。緊急提言は、学校における業務改善の支援策として、平成30年度予算において必要な措置を行うことを提言している。

文科省は、来年度概算要求で、教員の働き方改革として、(1)小学校の専科指導教員の充実(+2,200人)、(2)中学校の生徒指導体制強化教員の充実(+500人)、(3)共同学校事務体制の強化(事務職員+400人)など、総計3,200人の定数増を計上している。

また、専門スタッフの配置拡充として、部活動指導員配置促進事業(新規予算7,100人分)、スクールカウンセラーの配置拡充(26,000人→27,500人、全公立小中学校に配置)、スクールソーシャルワーカーの配置拡充(5,047人→8,047人)等を要求している。どこまで予算化できるかが課題である。

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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