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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2018/11/1 No.582発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

“免許外教科担任”の運用指針
 菱村 幸彦

 

さる10月5日、文部科学省は「免許外教科担任の許可等に関する指針」(以下「指針」)を定め、免許外教科担任制度の適切な運用について、都道府県教育委員会あてに教職員課長名で通知した。

指針は、文科省の「免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議」が9月18日にまとめた「報告書」を受けて作成されたものである

 

●相当免許状主義の暫定的例外措置

まず、現行の免許外教科担任(以下「免許外担任」)制度について見ておこう。

我が国の教員免許制度は、勤務する学校種と担任教科に相当する免許状を保有することを必須とする「相当免許状主義」をとっている(教育職員免許法3条)。

ただし例外措置として、免許法附則2項で、授与権者(都道府県教委)は、当分の間、中学校や高校等において特定教科を担当すべき教員を採用できないときは、校長および教諭等の申請に基づき、1年に限って免許外担任を許可することができると規定している。この規定は、昭和28年の免許法改正で「当分の間」の暫定措置として設けられ、今もそのまま続いている。

免許外担任制度は暫定的な例外措置であることから、文科省は、これまで繰り返し、安易な許可を行わないよう通知し、都道府県教委もできるだけ抑制する方針をとっている。その結果、免許外担任の許可件数は大幅に減少している。

免許外担任が多いのは、教員配置数が限られる5学級以下の小規模の中学校であり、全体の9割を占める。免許外教科としては、標準授業時数の少ない美術、保健体育、技術、家庭が多い。

この他に産前産後休暇、育児休暇、病気休業の代替としての免許外担任が行われるケースもある。とくに近年は特別支援学級の増加に伴う免許外担任の許可件数が増加している。この場合、通常は非常勤講師等の採用によって代替教員を確保しているが、人口規模の小さい自治体や離島・へき地等では非常勤講師の確保が難しく、免許外担任に頼らざるを得ない。

報告書は、こうした現状を踏まえて、免許外担任制度は「今後とも存続させるべきである」としたうえで、運用上の改善について提言している。

 

●免許外担任許可の留意事項等

このたび、文科省が示した「指針」のポイントは、おおむね次のとおりである。

 

第1は、免許外担任制度の基本的方針である。

(1)相当免許状主義の趣旨に鑑み、免許外担任について安易な許可は行わないこと。

(2)各学校種、各教科の指導に必要な教員を計画的に採用し、適正に配置すること。

(3)免許外担任教員に対し支援策を講じ、負担の軽減と質の向上に努めること。

 

第2は、免許外担任許可の留意事項である。

(1)都道府県教委は、許可の具体的審査基準を定め、実態の変化等に応じ適宜見直すこと。

(2)免許外担任の理由について十分吟味し、安易な許可を行わないこと。

(3)免許外担任教員の負担が過重にならないよう、授業数や経験年数等に留意すること。

 

第3は、その他の措置として、(1)社会人に積極的に特別免許状を授与すること、(2)現職教員や教職課程に在籍する学生に複数教科の免許状の取得を促進すること、等を掲げている。

 

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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