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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2019/3/1 No.590発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

“働き方改革”のための条件整備
 菱村 幸彦

 

平成31年1月25日、中教審は「学校における働き方改革に関する総合的な方策」に関する答申を文科大臣に提出した。

答申の概要については、素案の段階ですでに本教職研修資料(1月7日、No.586)で紹介しているので、ここでは繰り返さない。

 

●働き方改革のための定数改善

答申は、働き方改革として現在の状況下で取り得る取り組みのほとんどすべてを盛り込んでいるといえる。しかし、教育現場からは、「提言はいずれも重要と思うが、なによりもまず教員定数を増やしてほしい」という声が強い。

では、文部科学省は、働き方改革に関する条件整備について、来年度予算案でどのように対応しているのか。

文科省の平成31年度予算案を見ると、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革を目指し、教職員定数の改善、専門スタッフや外部人材の配置拡充などを一体的に推進する方針を掲げ、次のような改善を図るとしている

 

第1に、学校における働き方改革のため、教職員定数について1,110人の増員を図っている。内訳は、(1)小学校英語教育の早期化・教科化に対応するため専科指導教員1,000人増、(2)中学校の生徒指導体制の強化のため教員50人増、(3)学校のマネジメント機能の強化のため主幹教諭30人増、(4)共同学校事務体制強化のため事務職員30人増等である。

 

第2に、複雑化・困難化する教育課題への対応のため、教員定数について346人の増員(自然減等を含め)を図っている。内訳は、(1)通級による指導として348人増、(2)日本語指導として68人増、(3)初任者研修として72人増、(4)いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化として50人増、(5)貧困等に起因する学力課題の解消として50人増、(6)「チーム学校」指導体制の基盤整備として養護教諭、栄養教諭等

20人増、(7)統合校・小規模校への支援として30人増等である。

 

●専門スタッフと外部人材の拡充

第3に、専門スタッフとして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充の経費(補助率3分の1)64.6億円を計上している。内訳は、(1)スクールカウンセラーの配置拡充47.3億円(小学17,500校、中学10,000校)、(2)スクールソーシャルワーカーの配置拡充17.2億円(全中学校区への配置10,000人)等である。

 

第4に、補習等のための指導員等派遣の経費(補助率3分の1)として55.2億円を計上している。内訳は、(1)学力向上を目的とした学校教育活動を支援する退職教員等の人材配置30.7億円、(2)教師の負担軽減を図るため学習プリント等の印刷などを教師に代わって行うスクール・サポート・スタッフの配置14.4億円、(3)中学校の部活動指導員の配置10億円(3,000校分)等である。

 

第5に、特別支援教育の専門家の配置に14.8億円を計上している。これは医療的ケアが必要な児童生徒のための看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の外部専門家の配置(2,148人)を行うものである。

 

中教審委員の荒瀬克己氏(元京都市立堀川高校校長)は、中教審の会議で文科省から上記の予算案の説明を聞いたとき「拍手しようかと思った」と書かれている(「月刊高校教育」3月号)。拍手はともかく、国家財政の厳しい中で、文科省は働き方改革の条件整備のために最大限の努力をしていることは読み取れる。

 

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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