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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2019/4/26 No.594発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

“新指導要録”の改善通知
 菱村 幸彦

 

3月29日に文部科学省は、新学習指導要領に対応した学習評価と指導要録に関する通知〔注〕を出した。文科省通知は、通知の前書きで明示するように「指導要録の作成の参考」であって、指導要録の様式と記載要領は、設置者(教育委員会)が地域や学校の実態等に即して適切に決定すべきものである。その場合、今回は学校における働き方改革の観点を踏まえた見直しが要請されていることに留意を要する。なお、通知は、新学習指導要領が全面実施される時期に併せて適用される。

 

●評価の基本的な考え方と改善点

通知は、本文がA4判で8ページ、「別紙」(1~5)を入れると、全体で80ページに及ぶ大部なもので、その全容を紹介することはできない。ここでは重要なポイントに絞って見てみよう。

第1は、学習評価の基本的な考え方である。

通知は、まず、新学習指導要領のキーワードの「カリキュラム・マネジメント」と「主体的・対話的で深い学び」を取り上げ、両者とも学習評価が重要な役割を担っている旨を指摘している。

次いで、学習評価について指摘されている課題を挙げた上で、学習評価の改善の基本的な方向性として、

(1)児童生徒の学習評価につながるものにすること、

(2)教師の指導改善につながるものにすること、

(3)必要性・妥当性が認められないものは見直すこと

を示している。

 

第2は、学習評価の主な改善点である。

通知は、まず、観点別学習状況の評価の観点について、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理したことを述べ、設置者(教育委員会)において、これに基づく適切な観点を設定することを求めている。3観点のうち、「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、「粘り強い取組」と「自らの学習の調整」がキーワードとなっている。この観点の評価に当たっては、教育心理学の自己調整学習論の知見等の活用も有効であろう。

次いで、中教審の教育課程部会の審議の過程で廃止の是非が議論となった「評定」については、従来どおりとし、観点別学習状況の評価と各教科等の評定により、指導の改善を図ることが重要としている。

 

●指導要録の主な改善点

第3は、指導要録の主な改善点である。

まず、小学校・特別支援学校小学部の「外国語活動の記録」は、観点別の文章記述欄を一本化し、評価の観点に即して、学習状況の顕著な特徴を記入することとした。

次に、高等学校・特別支援学校高等部の「各教科・科目等の学習の記録」について、観点別学習状況を記載することとした。

また、高等学校・特別支援学校高等部の「特別活動の記録」については、教員の負担軽減の観点等から、文章記述を改め、十分満足できると判断される場合、○印を記入することとした。

同じく、教師の勤務負担軽減の観点から、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」は、要点を箇条書きとするなど記載事項を必要最小限にとどめた。

 

第4は、学習評価の円滑な実施に向けた取組である。これについては紙幅が尽きたので省略するが、一つだけ取り上げると、通知は、通知表の記載事項が指導要録の「指導に関する記録」事項を全て満たす場合、指導要録と通知表の様式を共通とすることが現行制度上も可能と示している。これは今年から実施できる。

 

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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