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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2019/9/2 No.602発行  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

新指導要領に対応した“教材整備”
 菱村 幸彦

 

さる8月1日に、文部科学省は、新学習指導要領に対応した教材整備を進めるため「教材整備指針」の改訂を行った。文部科学省は、これまでも学習指導要領の改訂のつど、義務教育諸学校で用いる教材整備指針を改めている。

 

●国庫負担金から地方交付税に

最初に教材整備の沿革と仕組みを説明する。

義務教育諸学校の教材の整備事業は、昭和27年に制定された義務教育費国庫負担法が、教職員の給与費とともに、教材費の2分の1を国庫負担としたことから始まった。しかし、昭和60年に義務教育費国庫負担法が改正され、教材費が国庫負担から地方交付税による一般財源に移された。このため、国庫負担法に基づく「教材基準」は、「標準教材品目」に変更され、学校設置者が教材整備を進めるための参考資料となった。

その後、平成20・21年に改訂された学習指導要領に対応した教材の整備から「教材整備指針」に改められ、各学校における教材の整備は、教材整備指針を目安として行われることとなった。

一般財源化されて以来、国は年次計画を立てて、義務教育諸学校の教材整備にあてるべき財源の確保を図っている。現在は、平成24年に策定された「義務教育諸学校における新たな教材整備計画」に基づき、平成24年から令和3年度までの10ヵ年間に総額約8,000億円の地方交付税措置が講じられている。

ただし、地方交付税は一般財源として交付されるので、地方交付税に積算されている教材整備費が、そのとおりに使われる保障はない。地方交付税の使途は地方公共団体の首長の判断に委ねられており、首長によっては、教材整備として積算された財源を公共事業や福祉事業等に使用するケースもある。

この点、平成27年度から始まった教育委員会制度では、首長と教育委員会のメンバーが直接議論できる総合教育会議の設置が義務づけられているので、この会議等を活用して、新学習指導要領の実施に必要な教材の予算措置が十分に行われるよう教育委員会の努力が期待される。

 

●改訂の目玉は「複合コピー機」か

今回の教材整備指針の主な改訂内容を摘記すると、次のとおりである。

まず、新指導要領の関連として、例えば小学校では、プログラミング教育の必修化に伴い、新たにキーボード入力練習教材やプログラミング教育用ソフトが追加されている。また、「算数」では、データの活用に用いる教材として、各種グラフの指導板やデータをグラフで表現できるソフトが加えられ、「外国語活動・外国語」では、音声付き映像教材や音声CDが加えられている。

次に、中学校では、「技術・家庭」でロボットなどの計測・制御プログラミング用教材や3Dプリンター、「音楽」や「美術」で作曲や画像編集ができるソフトなどが加えられている。

もう一つ注目されるのは、学校における働き方改革の観点から、複合コピー機(印刷、スキャナ、丁合、ステープラー等の機能付)が加えられたことである。ほとんどの学校には丁合やステープル機能のあるコピー機がないため、いまだに教師が堂々巡りをして資料をホチキス止めしている。今回の目玉は、複合コピー機といえるかもしれない。

なお、理科教育設備については、別途、理科教育振興法に基づいて整備される。今回、理科の設備基準も新指導要領に則って改訂が行われている。

 

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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