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教育行政・学校経営の最新情報「教職研修資料」【発行】教育開発研究所

教職研修資料2020/10/1 No.628  ※無断転載・加工禁止  【発行】教育開発研究所

教育行政のポイント

休日の“部活動”を学校から地域へ
 菱村 幸彦

 

9月1日、文部科学省の「学校における働き方改革推進本部」は、部活動を学校単位の活動から地域単位の活動に移行させる改革案を公表した。この改革案は突然浮上した感があるが、実は1年前から中央教育審議会や国会から要請されていたものである。

 

●もはや持続可能とは言えない

中教審は、平成31年1月の学校における働き方改革に関する答申で「将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきである」と提言した。

また、国会は、令和元年12月に1年単位の変形労働時間制の導入を図る給特法の改正法案を議決した際、附帯決議で「政府は、教育職員の負担軽減を実現する観点から、部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外の主体が担うことについて検討を行い、早期に実現すること」を要請している。

今回の改革案は、部活動が生徒にとって教育的意義の高い活動であることを評価しながらも、部活動が教師の献身的な勤務に支えられており、長時間勤務の要因となっていること、特に指導経験がない教師には多大な負担となっていることを指摘して、「もはや持続可能な状態にあるとは言えない」と断じている。それで、部活動は、すべてを学校の教師が担うのではなく、地域人材の協力の下に、地域が支えていくことが必要というのだ。

 

●令和5年から段階的に移行

(1) 休日の部活動の指導や大会への引率は、学校の職務として教師が担うのではなく、地域の活動として地域人材が行うこととし、令和5年度以降、段階的に地域への移行を図る。

(2) 地域部活動の運営主体は、退職教師、地域のスポーツ指導者、スポーツ推進委員、生徒の保護者等の参画や協力を得て、総合型地域スポーツクラブ、民間のスポーツクラブ、芸術文化団体等が担うこととする。

(3) 地域団体において地域部活動の運営を担う人材や指導者を確保し、団体の責任の下で、生徒の安全の確保や指導者への謝金の管理などが行われることについて、生徒・保護者等の理解を得る。

(4) 休日の大会・コンクールへの参加については、校長の承認の下に、地域部活動に参加する生徒が学校代表として参加することを認める。

(5) 地域部活動の際に事故が発生した場合は、地域部活動の運営主体や大会の主催者が責任を負うが、生徒の救護や保護者、学校、教育委員会等への連絡など、事故発生時の役割分担をあらかじめ明確にし、生徒・保護者等の理解を得る。

(6) 大会の引率については、地域人材の確保が限定されるため、やむを得ない場合に限り、教師が大会引率を行うことも考える。

(7) 地方自治体は、教師に代わり生徒の指導や大会への引率を担う地域人材の確保に向けて、人材バンクを整備・活用し、民間人材の活用の仕組みを構築するなどの取組を行う。

(8) 休日の指導を希望する教師は、兼職兼業の許可を得た上で、地域部活動の運営主体の下で従事する。兼職兼業の運用に当たっては、教師が希望しないにもかかわらず、休日の指導等に従事させることがないよう十分留意する。

 

今回の改革案については全面的に賛成である。ぜひ実現してほしい。ただ、問題は部活動を地域単位に移行するとした場合、学校に代わる受け皿が十分にあるかだ。これが確保されないと、折角の改革案も画餅に終わる。

 

(ひしむら・ゆきひこ=国立教育政策研究所名誉所員)

 

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